戸塚新聞は横浜戸塚の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

この街をオモシロくする人 vol.1 NPO法人こまちぷらす代表 森祐美子さん(その2)

IMG_4325_web

地域みんなで子どもの誕生を祝福
『ウェルカムベビープロジェクト』

 
子育てに悩むお母さんやお父さん達が多くいる現状において、地域で子育てをする為に、どんなことが大切なのか森さんに伺いました。

 
森さん:「以前、横浜市内で大規模なアンケートを他のNPO法人や団体の方と連携して行った時に、”横浜で子育てする中であったら一番嬉しいと思うもの”という問いに対して、保育園は第2位で、一番多かった声が”人“、風土”や”街中の人の視線”だったんですね。

 
お母さんたちはどこに行っても”すみません”、”ごめんなさい”と、謝っている自分がいて、それがすごく窮屈に感じる。そんな声に私もすごく共感して、どうやってその課題を解決すればいいのか、考えるきっかけになりました。

 
子育てがしやすい環境に街を変えていくというのは、『文化』や『空気』のような目に見えない何かを変えていくようなもの。とても一筋縄ではいかないことです。

では、どうすればいいのか、森さんが出した答えは、いろんな人が子育てを”ジブンゴト”として捉えてもらい、一緒に汗をかくということでした。

 
web_1-8753子育て世代が暮らしやすくなるためにはどうすればいいか、商店街も企業も住民もみんなが子育て応援団になれるための仕組みが必要と語る森さん。

 
森さん:「いろんな人に子育てを”ジブンゴト”として捉えて、主体的に考え、動いてもらうしかないと思ったんです。

そのためには、色んな立場の人たちが関わり合えるような仕組みづくりが必要でした。

ひとつは、今、お母さんお父さんたちは何が大変で何が嬉しいのかを知ってもらうきっかけをつくること。30〜40年前の子育てと今とで、どんな環境の変化があるのか。そういった現状を知ってもらうこと。

そしてもう一つは、単純に『何かしたい』『応援したい』気持ちはあるけど、どうすれば良いかわからないという人が戸塚中にたくさんいて、そんな人たちが関わるきっかけをつくること。

つまり、『知るきっかけ』と「関わるきっかけ』をつくってあげればいいんだということが見えてきて、その2つをつくろう! とヤマト運輸株式会社神奈川主管支店の方と出会って一緒に考えて始めたのが『ウェルカムベビープロジェクト』でした。

 

ウェルカムベビープロジェクトとは

出産を祝う文化の醸成を目的に、子どもの生まれた家庭に地域と公募企業らがプレゼントを贈る日本初の官民住民連携のプロジェクト。

2016年4月に横浜市戸塚区からはじまり、今年3期目を迎える。また、同プロジェクトが4月から鶴見区でも始まっています。

プレゼントの中身は、出産後に利用できるようなアイテムやサービスチケット、地域の方からのメッセージカード付きの手縫いの背守りなど。

2018年度WBPプレゼント選考会_2ボックスに入れるプレゼントは選考会があり、子育てを豊かにするにはどうすればいいか、企業や団体が考えるきっかけにもなっています。

 
森さん:「ウェルカムベビーボックスに入れるプレゼントは、選考会を設けていて、企業や団体の方は、応募書類を書き、自分たちが持っている資源・サービスが子育てを豊かにすることにどうつながるか、汗をかいて考えてくれます。

自分たちのサービスがどう子育てに活きるか考えていく過程で、ニーズを知ろうとし、そこにインセンティブが生まれます。生のお母さんお父さんの声をきいてヒントを得たり、いろんな異業種の方同士も出会ってコラボも始まりました。

そういった中で生まれたのが、ウェルカムベビープロジェクトおむつ自販機なんです。

 
1704_OJ_0126_webジュースもおむつも買える自販機「ウェルカムベビープロジェクト おむつ自動販売機」

 
森さん:「”外出先でもっと気軽におむつが買えたら”という1人のお父さんの声から始まったこのおむつ自動販売機も、大手飲料メーカーと花王株式会社生活者研究センターの方々が普通では考えられないようなスピード感で作り上げて出来上がったものです。

こんな風にニーズに触れ、思いを持って行動するということがいっぱい種まきできれば、世の中って少しずつ変わるだろうなって思います」

 
今年で3年目を迎えるウェルカムベビープロジェクト。初年度は約240箱、2年目は440箱の発送がすでに決まっているようで、着実に申し込みをしてくれる方も増えてきて、子育てをしやすい地域・文化を醸成いくためのきっかけとして、少しずつ地域に浸透してきています。

しかし、一方で、まだ目指しているボックスは完成形には及んでいないという話もしてくれました。

 
森さん:「お母さんお父さんたちが感動してもらえるようなプレゼント、子育てが更に楽しくなるようなプレゼントを、ご応募いただく企業の方やご協力いただく方皆さん本当に限られた時間や人、資金の中で精いっぱい知恵を絞ってくれています。

各ご家庭で「今すぐほしいもの」との乖離は少しあるかもしれませんが、ボックスをもらった方が地域に出るようになって、いろんな人と知り合いになったり友達になったり、今度は背守りの縫い手としてこれから生まれてくる赤ちゃんにプレゼントする側になったり、そんな循環ができるようなプレゼントにしたいと思っています。

 
ウェルカムベビーボックスの中身をどうニーズに合わせていけるか。そして、送るだけで終わってしまうのではなく、そこからの広がりをどうつくっていくか、今後の課題でもあると言います。

 
森さん:「地域での子育てということを考えた時に、今までのやり方を続けるだけは難しい。ご近所で声を掛け合いましょうと言い続けていても、それだけではなかなか変わらないんです。

今関心を持っていない方が関心を持つような「きっかけ」をつくったり、いつの間にか一緒に汗をかいているような仕掛けがあると、結果的に地域で子育てをしているようになっているんじゃないかなって思います」

 
私自身、こまちぷらすさんに取材に伺ってお話を聞いていく中で、ひとりの人として「何かできないか」、自然と考えるようなりました。子育てしてるしてないに関わらず、街で困っている人の言葉に触れる機会を色んな人たちが持つことで、少しずつ街に変化が訪れるのかもしれません。

 

今後の活動について

 
最後に、今後取り組んでいきたいことについて伺いました。

 
森さん:「そうですね、いっぱいあるんですが、ひとつは『新たな発想がたくさん生まれるカフェ』を全国各地に増やしたいです! すごくかたい表現ですが、今そのために必要なことは「見える化」だと思ってます(笑)」

 
こまちカフェさんのようなコミュニティカフェは、全国に2000箇所もあると言われていて、どこも継続していくことにとても苦労しているという現状があります

そういった場所が継続していくためには、そこで何をしていて、どんな効果をもたらしているのかを示していく必要があると、森さんは言います。

 
森さん:「今、こまちカフェにはいろんな「やりたい!」と、その気持ちをもった人がたくさん集まってきているのですが、そうすると考えたことがない発想が出てきたり、その結果、イベントやモノやサービスが生まれています。

でも、何が起きてるかが外からなかなか分かりにくい。カフェってこんな可能性がある! っていうことを評価指標をつくったりしながら、もうちょっと上手に表現して、多くの人に”支えたい!”、”一緒につくりたい!”と思ってもらえる場にしたいなと思います。

そうやって私たち自身試行錯誤しながら、ノウハウもいろんな人と共有して、世の中にある同じような場所が「継続できる」ことにもつなげていきたいです。

 
自分たちがカフェを継続してその効果を示していくことで、全国にある同じようなカフェ運営者の一助にもなる。

森さんが見据えるのは、少し視野を広げた世界。もちろん、今自分が手の届くところから変えていく、そのスタンスに変わりはありません。

 
森さん:「その他に、『コーディネーター育成事業』ということもやっています。このカフェに訪れてくれた方の中で、だんだんと『場』に愛着を持ってくれて、主体的になって自ら団体を立ち上げたり、企画を立ち上げる等、地域に芽がひらいて結果的に街の担い手になっていた、ということがあるんですね。

そういった人たちのモチベーションを引き出すための人材育成プログラムなど、ノウハウの体系化を、日本財団の助成を受けながら、NPO法人CRファクトリーさんという中間支援のNPOさんと一緒に数年かけてようやくできたので、そのモデルをいろんな地域に運んでいこうと考えています」

 
”何かやりたい、でも何をしたら・・・”

漠然とそんな想いを抱えている方は意外と多く、そういった人ほどモチベーションがあると言います。

今のお母さんたちは、子どもを保育園に預けて働くか、幼稚園に通わせて専業主婦になるか。一見選択肢が少ないように思えますが、こういった場所から社会とつながり、地域の担い手になっていったりすることで、結果的にお母さんたち自身が、子育てだけでなく、自分としてどう生きるかの選択肢をつかんでいける。

こまちぷらすさんは、いろんな切り口からお母さんを応援する役割を担っているのだと感じます。

 
さらには、国連が定めた17の目標(SDGz)に対して、この小さなまちのカフェから何ができるのかも、今後の活動として考えているそうで、これからの広がりが楽しみです。

森さんの想い描く未来の展望は果てしなくも感じられますが、人とつながり、出会い、自分の歩むべき道を考えて行動する森さんの想いは、着実に人から人へ伝わり、形になっています。

地域にどんな仕組みがあれば、お母さんだけでなく、みんなが幸せになれるのか、自分自身にも問いかけていきたいと思います。

 
web_1-8752

その1を見る

ウェルカムベビープロジェクトHP
http://welcomebabyjapan.jp/

++++++++++++++++++++++++++++++++

こまちぷらす イベント情報

『こまちパーク』
0歳児とそのきょうだい児とママパパ、マタニティの方限定で交流&情報交換をします。
毎週金曜日:11:00〜
場所:イオンスタイル東戸塚3F リパブ―ひろば(素足で遊べる緑のひろば)
参加費:無料

「聞こえないママ×まちプロジェクト」
https://www.facebook.com/kikoenaimama/

◎写真/坂本貴光
◎取材・文/木村伊織

Share (facebook)