平戸町の住宅街に、京うどん・そば「きぶね」という風変わりなメニュー満載の麺屋さんが
あるという。戸塚新聞の編集長?の命を受け、あまり足を運ばないエリアだったので、
ワタクシ重い腰をヨッコイショ!と上げて、やっとこ行って参りました。
国道一号線からちょいと入った住宅地。周囲の一戸建てに溶け込むように店舗がありました。
住居兼店舗なんでしょうか。わざわざ地図で調べてから向かわないと、たどり着けない・・・
戸塚新聞:「ごめんくださ~い。庶民的な雰囲気の店内 !ワタクシにピッタリ☆」
テーブルは5卓。すっきり清潔感がある・・・こざっぱりとして余計なものはない・・・
店主が一人で経営を(調理・接客・洗い物などすべて)切り盛りしているため、キャパ少なめ。
そしてオーダー後、食べ物にありつけるまで時間がかかることを最初に断っておかねばなるまい。
お茶もセルフサービスでどうぞ。
とにかく「おいしさ」に頑固なまでのこだわりを持つ店主の岡田さん。
お客さんに出来立ての一番おいしい状態で食事を提供したいとの思いが強く、注文を受けてから
調理するため、作るのに時間がかかってしまうと言う。常連さんの間では暗黙の了解!
行くなら時間に余裕のある時が望ましいかも。空腹でイライラしそうな時は外して・・・
メニュー帳は置いていないから、カウンター上部に掲示されたものを見て選ぼう。
店名は、店主が生まれ育った京都からきており、関西の味つけを関東の方の舌に
も合うように調整している風です。
儲け度外視だという経営理念?が値段にも表れているようで。
以前は人を雇って、広範囲に渡って出前を行う多忙スタイルだったそうだが、今では店主の
「自分も食べることが好きだから、絶対的においしいものを!」との思いを大事に、
「自分のやりたいことを、やりたいようにやる」スタイルを貫いている感じがしました。
おや?店主が何かの麺を見せてくれました。
店主:「これが、名物そどんの麺ですよ!」
戸塚新聞:「そどん・・・ですか?」
店主:「片側がそば、もう片側がうどん、だから→そどん。私が考案したオリジナル麺です。」
戸塚新聞:「斬新な麺ですね。一体どうやって生まれたんですか?」
店主:「以前、出前をやっていた時に、そば・うどんの合い盛りを頼む人がいましてね。
別々に用意するのが手間だから何か妙案がないかと思索したんです。それで研究を重ねた
のが始まりです。」
打ち粉をまぶすと区別が難しいですが、表裏一体になったそば麺とうどん麺。
別々に麺を打ってから合体させるという作業は、かえって手間がかかるので本末転倒の
ような気もしますが・・・
苦労の末に編み出した「そどん」は、「そば」の方を好む関東人にはなかなか受け入れられ
なかったようで、名物メニューに成長するまでにツユを試行錯誤したりと、紆余曲折が
あったようです。
そばの方が乾燥しやすいので、クルクルとカーブしたり麺に切れ目が入ることも。
さっそく茹でていただきました。うどんより細く、そばより太い、平らな形状。
ツヤツヤしていて、旨そう♪
見た目はどっちかいうと「そば」かなあ?
むむ!表面に亀裂が見られるので、こちら面の麺はそばですね!
くんくん・・・
そばの香りがわずかながらも漂ってくるような気がします。
ちゅるちゅる。
おー❤ツルっとのど越しが良い。うどんの歯触りでしょうか。
風味は・・・うどんのような、そばのような。うどんでないような、そばでもないような。
どっちか決められない!!!不思議な味わいです。
でも食べやすくて、これなら「アリ」です。飽きずにドンドンいける感じ。
途中で店主が運んでくださいました。
戸塚新聞:「あ、お茶ですか、恐縮です。」
ゴクゴク・・・
戸塚新聞:「うわー、すっごくおいしいです。でも、お茶じゃナイんですけど((+_+))」
店主:「うちの店のダシですよ!うどん用なの。」
戸塚新聞:「極上のダシ!これだけでゴクゴク飲めちゃいますね。この旨さは感涙ものです。」
店主:「そどんには、そばツユの方が合うんですよ。うどん用だイマイチ弱いの。」
鰹節と昆布で丁寧にダシをとって、うす口醤油で味付けしているツユ、関西風です。
戸塚新聞:「ふ~ん、どれどれ。そどんを入れて検証してみようっと。えいっ、投入だ。」
合わないと言われながらも、暴挙に出るライター。
戸塚新聞:「ほほう!ワタクシも関西寄りの味付けで育ったから、コレかなり好きです!」
うどんダシに漬けると、そどん→うどん的に感じられます。
もう一度、先ほどの濃いツユで食べてみると、そどん→そば的な感じがします。
ぺろりん、ごちそうさまでした(^^)v
どんな味わいに感じるか、きっと食べた個々人によってとらえ方が異なるはず。
非常に遊び心に溢れた一品ではないでしょうか。
続きまして、こちらも人気のいなり寿司。小太り君です。
おツユがたっぷり含まれているらしく、お箸でツンツンすると、しみ出て来ました♥
きゃ〜、とってもジューシーです!
見た目の期待を裏切らない、美味しさ。
関西風に、かやくご飯がパンパンに詰まっていて、これは満足感がありますよ〜。
甘めですが、黒ごまの存在が味をピシッと引き締めています。
常連さんの間で、ヤミツキになるというチーズきつねうどん。
ぜひ食べてみて欲しいと店主が勧める肥満の、イヤ自慢の一杯。
このメニューも常連さんからは「チーズが合うわけないっ!」と、定番化するまで
相当の月日が流れたという話。
油揚げの中をそお〜っと覗いて見てごらん♪
とろ〜り、と・ろ・け・る〜ん。
上品なうどんダシにチーズのコクが加わって確かに魅惑的。
合いますね!!!
麺は最近流行っている讃岐うどんと違って、俺はコシが強いぜ!って口当たりではなく
程よくモチモチした弾力感がありながら、絶品ダシを含むことによってふんわり柔らかめ。
なんか、クセになるの分かるワ。
うどん豆腐です。うどん豆腐です。うどん豆腐です。
いえ、メニュー名は間違っていませんよ?しつこいけど、うどん豆腐です。
店主:「うどんに豆腐を練り込んでいます。豆腐が入ると心情的に足で踏むわけにもいかず、
手で800回くらいコネます。具材は豆腐とブランドの大山地鶏を蒸し上げたものを乗せてあり、
女性客に密かな人気のヘルシーメニューなんですよ。」
江戸時代、戸塚界隈に「うどん豆腐」という食べ物があったらしく、そのレシピ等は不明ですが
ご主人のイマジネーションに基づいて再現してみたそうです。
戸塚新聞:「はあ、豆腐入りですか。またまた、めずらしいですね。」
珍メニューの連続に半ば呆れ顔のライター。(コラ!営業スマイルだ!)
ツルンとしてコンニャク麺っぽいような? 小麦だけよりも、豆腐のおかげで軽い仕上がり。
この麺に合うように、ツユは基本ダシに酸味を加えて、ポン酢っぽくしています。
基本のダシに自信があるからこそ、こんな自由にアレンジを加えても広がりが出るんですね。
手間隙をかけてお客さんを喜ばせようと(驚かせようと?)いう店主の心意気がじーんと
伝わってきました。
「きぶね」には他にも珍メニュー/裏メニューもあるらしいのですが、
この日の最後を飾るのは、、、超新作です。まだメニューの名前も決まっておりません!
ねえ、ご主人。本当にこの場で発表しちゃっていいんすか???
安直ですが、「コロッケそば」(仮称)としておきますか。(笑)
左側が「そばがきコロッケ」、右側が「野菜コロッケ」。中央にはフライドポテトまで!
ご主人ったら、創作スゴ過ぎです!!
ツユはやっぱりソバ用に手を加えて、サラダ麺にピッタリ〜になっているんです。
麺に合わせて、何種類もツユを用意する意識の高さ。この方、ただ者ではありませぬ。
今日は、代表格の「そどん」を味わいにきたのですが、他にも意表をつくメニューがわんさかあって
何より人情味溢れた店主のお話を伺うことができ、楽しい取材でした♪
御年72歳という店主の年齢を感じさせないイキイキした様子、「おいしさ」を探求する情熱に
触れ、ご主人のお人柄がそのまま「きぶね」の魅力に繋がっているんだなと実感しました。
京うどん・そば きぶね
横浜市戸塚区平戸2-31-3
電話 045-821-0655
営業時間 12時ー20時
月曜定休