梅雨が明け、続く真夏日。
とにかく外に出ると暑いわけで、
もはや戸塚はコンクリート砂漠と化しているわけで、
運動不足の自分の体力はどんどん奪われていくわけで、
「父さん、ぼく──
やっぱり明日、北海道へ帰ります。」
北の国からのワンシーンが脳内垂れ流し状態で
戸塚の街を歩いていると、ある看板が目に入った。
『矢部の湯』
みなさんにはきっと「やべのゆ」と読めることでしょう。
しかし、この時の自分にはこんな風に見えました。
『オアシス』…
戸塚にオアシスがあらわれた!!
(いやもともとあった)
そうだ、戸塚にはこんな場所があったのだ。
よっしゃー!銭湯入ってリフレッシュして、そのまま直帰しちまえー!キャッホーい!
戸塚の魅力を再発見するため、
純然たる気持ちで取材を決行。
ということで、店主の江尻さんにお話を伺う事に。
戸塚新聞
戸塚で唯一の銭湯である矢部の湯さんですが、いつ頃から始められたんですか?
江尻さん
創業したのは1960年(昭和35年)で、今年で53年目になります。
戸塚新聞
53年ですか!なるほど、どうりで昭和レトロな雰囲気が漂ってるわけですね。
昔ながらの銭湯の姿がそのままあって、ここに来るとなんか落ち着きますよ〜
まだ営業前で誰もいませんが、誰もいない脱衣所っていうのも静かで趣がありますね〜。
高い天井は、有名なお寺や神社、お城の天井にも多く使われている格天井(ごうてんじょう)。
この天井がことさらに矢部の湯の渋い味わいをつくりあげてるように感じます。
こんな機会でもなければ、男である私がまず入る事は許されない女湯側、サンクチュアリです。
少しだけ男湯と違うんですね〜
こちらは少し広めの赤ちゃんの着替え台&荷物置き場。
風呂上がりには、少女漫画を読んでゆったり。(あの「みかこのおふろ屋さん日記」もあります。)
メモを読む江尻さん
ちなみにお風呂場のタイルは、石川県金沢の九谷焼製造会社「鈴栄堂」のものを使っています。
多くの銭湯のタイル絵はこの鈴栄堂製が用いられているんですよ。
矢部の湯にあるタイル絵は、石田章仙などの絵師によって描かれたもので、
宝船や錦鯉、牛若丸などの物語、松島などの風景画になります。
戸塚新聞
なるほど〜、でも素っ裸で絵を観ることができるのなんて銭湯くらいですよね!
銭湯って、ただお風呂に入るだけじゃなくて、コミュニケーションの場でもあって、
ちょっとした芸術を感じられる場でもあったんですね。
昔からこんな風習があったんだと思うと、昔の人ってやっぱり粋ですね〜
男湯に描かれている様々なタイル絵。身にまとうを物を全て脱ぎ去り、生まれたままの姿となって
まっさらな気持ちでタイル絵を鑑賞。
こちらは銭湯の定番の富士山!通常は男湯に描かれる事が多い富士山絵。
女性にも富士山を間近で味わって欲しいと、2年前の書き換えのタイミングで
現在は女湯の方に描かれています。
戸塚新聞
あの、そういえば、外に立派な煙突もありましたよね?
江尻さん
裏に窯場があって薪を焚いてお湯の温度を調節しているんですよ。…見てみますか?
戸塚新聞
見たいです!是非見させてください!
はじける笑顔が印象的な江尻さん
え、なになにしょうがないなーもう。じゃあいったん表から出て裏にまわってきてください。
戸塚新聞
あ、ありがとうございます!!
ということで裏口に回って窯場を見させていただくことに。外が暑い上に窯場はさらに熱い!
こうやって薪を集めて、窯に入れて温度を調節しているんです。
窯焚きは江尻さんのお仕事だそうで、ものすごい暑い中で作業されてるんです。
こうして江尻さんのお陰で、自分たちは気持ちよくお風呂に入れているんです。有難いです。
写真には収まりきらない程の煙突。もっと近づいて見上げるとなかなかの迫力です。
戸塚新聞
最近は映画なんかもやったりして、改めて銭湯の良さが見直されてますよね。
江尻さん
そうですね、若い方も利用してくれていて、最近は矢部の湯も
ランニングステーションになっていて、利用する方も増えてますよ。
戸塚新聞
へー!ってすみません勉強不足で、、ランニングステーションって何ですか?
メモをがっつり読む江尻さん
えー、戸塚区が推進しているプロジェクトで、運動の習慣づけや生活習慣病予防などを目的に、
戸塚駅周辺のスポーツ施設やコンビニに協力を求め、「ランニングステーション」として
ランナーがロッカーやシャワー、着替え場所として利用できるようにしているのです。
そして、矢部の湯もそのランニングステーションの1つになっていて
脱衣所とロッカーとお風呂を利用できるようになっています。
戸塚新聞
そうなんですか!ということはつまり、走る前に荷物を矢部の湯さんに預けて、
柏尾川あたりなんかをランニングして、帰ってきたらお風呂に入って汗を流す!
そして風呂上がりに飲む「森永濃厚エースミルク」=最高の瞬間
ということですね!!
戸塚区民の運動不足解消に一役買っているんですね〜
コーヒー牛乳派とかミックスジュース派とありますが、
なんやかんやで風呂上がりは、森永濃厚エースミルクですよね。
そしてもちろんシャンプーや石けんを忘れても大丈夫です!
こちらで買う事も出来るので、手ぶらで来てもOK!
毎日14時から営業している矢部の湯さん。
まだ少し先の話ですが、10月10日の銭湯の日には和歌山県北山村特産の「じゃばら」という
最近メディアでも噂の柑橘系果実を浮かべた「じゃばら湯」になるそう。
さらに、そのじゃばらを使ったジュース「じゃばらまる」も矢部の湯さんではいただけるんです!
「邪(気)をはらう」ところから名前がつけられたじゃばら。味はすっぱ甘くて、後味はスッキリ。
じゃばらは花粉症にも効くそうなので、お悩みの方にはオススメです。
最後に写真を1枚撮らせてくださいとお願いしたら、江尻さん、着替えてきてくださいました。
取材中もとっても親切にしてくださって、自分はもうこの笑顔の虜になってしまいましたよ。
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矢部の湯
住所:横浜市戸塚区矢部町4
電話:045-881-6954
営業時間:14:00〜23:00
定休日:月曜日